賃貸住まいの場合、退去時に原状回復費用について貸主と揉めるケースが問題視されています。特に気をつけていただきたいのは喫煙者の方々です。
タバコのヤニ汚れについては、愛煙家にとって費用負担になるのか・ならないのかが判断しづらいはず。
本記事では原状回復費用について解説していきます。ヤニ汚れが気になる喫煙者の参考になれば幸いです。
借主負担になる
原状回復費用についてトラブルが絶えないため、国交省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が開示されています。必ずチェックしておきましょう。
その内容の一部には、故意・過失によって損傷を与えた部分(特別損耗部分)については、借主に負担が課せられると記されています。
ですから、クロスにタバコのヤニ汚れ、ニオイが染みついている場合には借主負担になるという内容です。
喫煙による損傷は特別損耗に分類されるため、退去時に費用を負担して原状回復を行うことになります。
賃貸物件では経年劣化であれば、通常の範囲内とされ、原状回復費用負担はかかりません。しかし、タバコのヤニ汚れやニオイ、焦げてしまった跡などについては別です。
この内容について事前に把握しておけば、室内でタバコを吸わない生活を送ることもでき、費用負担をかけない策にもつながるでしょう。
タバコのヤニ汚れで壁紙が変色したら
室内でタバコを吸った場合、借主は退去時に壁、天井を張り替えるための費用を全額負担することになります。これは特約がある場合に限りますが、半年でも3年でも入居年数に関わらず貼り替え費用は全額負担となることが一般的です。
なお、居住年数別の退去費用については以下の通りです。
・3年までは5万円程度
・4年~6年は6万円程度
・7年以上は9万円弱
ガイドラインの考え方によれば、新築物件に入居した場合、3年も経過すればクロスの張り替え費用の負担割合は2分の1程度の請求です。
なお、6年以上経過している場合には資産価値が下がり、実質、クロスの張り替え費用を請求しないケースが多いようです。
退去時の費用として請求される内容について
実際、原状回復費用を請求される内容を以下にまとめてみました。しかし、払わなくて良い場合もあるので、貸主と借主の話し合いにより解決をはかるようにしましょう。
・日焼けや電気焼けした壁や床
・画びょうで空いた穴
・フローリングのワックスがけ
・家具設置のへこみ
・鍵の交換
・設備機器が経年劣化した場合の修理
普通に生活していてできた消耗にあたるのか否か、ここについてはガイドラインと照らし合わせることをおすすめします。
なお、契約書で禁止しているにも関わらず、室内で喫煙をしてしまったり、ペットを飼育したりと契約違反をしている場合には違約金を請求される可能性があります。入居時にはしっかり契約書類に目を通しておきましょう。
敷金は戻ってくる?
原状回復費用を差し引いた残りの金額が戻ってきます。この原状回復については退去前の掃除(ハウスクリーニング費用)にも当てはまります。
ハウスクリーニング業者に依頼すれば、汚れ、シミ、カビが残らないようにきれいに清掃作業してくれます。
退去する際に、ハウスクリーニングしないままであれば、原状回復のためのクリーニング費用を請求されることがあります。
あまりに汚れがひどい場合は、費用が高額になる場合もあるので注意が必要です。
おわりに
賃貸物件の原状回復は退去時の義務だといえます。喫煙者にとってはタバコのヤニですが、禁煙者でも別の故意、過失により原状回復費用を負担せざるを得ない場合もあります。
次にも役立つため、このことは十分に理解しておくと良いでしょう。